教授ご挨拶Message
明日の長崎の地域医療を支える脳神経外科医の育成とその中から世界に羽ばたく人材の育成を目指します。
現在の脳神経外科学教室は、昭和47年11月に森和夫名誉教授が初代教授として京都大学より赴任され、昭和48年1月に第二外科より独立する形で開設されました。当時は電気生理学を中心としたてんかん外科、脳浮腫や脳虚血などが診療研究の中心でした。平成3年11月には柴田尚武名誉教授が第2代教授として就任され、定位放射線治療をはじめとし、ナビゲーションシステムや血管内治療など新しい治療法の導入が積極的に行われました。直線加速器を用いた定位放射線治療は、日本初の高度先進医療として現在の定位放射線治療の基礎となる成績を残されました。平成15年には永田泉教授が第3代教授として就任され、脳血管障害を中心とした臨床研究が教室の中心となり、脳卒中センターの開設を始め、更に洗練された教室作りがなされました。私は、3名の教授の元で脳神経外科診療の基礎と実践を学び、平成26年11月より第4代脳神経外科教授を拝命させていただく事となりました。
臨床面での大学病院の役割は、地域医療の砦としての難治例の診断・治療と考えます。脳腫瘍診療では、神経内視鏡・ニューロナビゲーション・覚醒下手術・術中蛍光診断・脳機能モニタリングなどの最先端技術を駆使し安全で確実な診断治療を全国に先駆けて導入しており、頭蓋底手術では、耳鼻科・形成外科など他分野の専門家との共同手術を積極的に行っております。脳血管障害においては、ハイブリッド型血管内治療手術室を整備し、従来の脳神経外科手術に加え脳血管内手術を駆使して治療困難な症例の治療に取り組むと共に脳神経内科との密な連携のもと、地域における質の高い急性期医療を提供して参ります。更に、脊髄脊椎疾患、小児脳神経外科、機能的脳神経外科、それぞれの分野での専門医を配置し最新の医療を提供できる体制を整え、地域の皆様に安心の医療を提供しております。
研究面では、脳梗塞における神経幹細胞を利用した再生医療への取り組みや、動脈硬化の成因と治療に関する研究、血液脳関門や脳浮腫の解明と臨床応用、悪性脳腫瘍における放射線耐性の解明、脳腫瘍の蛍光診断・光線力学的治療の研究などに取り組み、これらの早期の臨床応用を目指したトランスレーショナルリサーチを行っております。
教育面では、関連施設との協力と、充実した指導医と指導体制のもと、明日の長崎の地域医療を支える脳神経外科医の育成とその中から世界に羽ばたく人材の育成を目指します。若い先生が輝ける、新たな脳神経外科の未来を築ければと考えております。
脳は、人間にとって最も重要な臓器です。脳の機能を脅かす様々な疾患や外傷から人々を守るため、私をはじめ長崎大学および関連病院スタッフは常に全力を尽くす所存にございます。最先端の診断や治療を地域の皆様に提供し、新たな知見を世界に発信すべく、日々努力して参ります。診療・研究・教育を充実させ、地域および世界に貢献できるよう、皆様のさらなるご指導ご鞭撻をなにとぞよろしくお願い申し上げます。